最終更新日: 10/02/2025
モルモットは本当に"元気"?
1. 健康チェック
1-1. 異常なし?
我が家では1日2回、全身をチェックしています。目、耳、鼻周り、手足、生殖器、肛門などに異常がないか、お尻周りや腹部の毛が汚れていないかも確認します。そして眼光。モルモットは体調が良いと目がキラキラしています(特に若いモルモットは顕著)。しかし、体調が悪い時は、目が落ち窪み光を失って見えます。
また、目立たないけれどとても汚れやすいのが耳の中です。特に活発な個体は朝晩ウエットティッシュ&乾いたティッシュで拭いてみてください。汚れていることを確認できます。
前歯も上下先端が水平かチェックしましょう。図1-1をご覧ください。モルモットはよく目立つ前歯4本の他に、ヒトの「奥歯」に似ている「臼歯」が16本あります。下顎の臼歯は内側に、上顎の臼歯は外側に傾斜して生えています(余談ですが、私は昔、モルモットの臼歯は32本あると思っていました。重なって見えるだけなのですね・・)。模式図でわかりにくい場合、図1-2, 3, 4と見比べ想像力でイメージを補完し脳内で三次元化してみてください。臼歯は口腔内の喉側にある上に、ヒトが歯医者に求められるような「口を大きく開け続けること」ができません。臼歯に関しては小動物用の開口器がないと確認できません※1。
仮に開口器があって臼歯を確認できても不正咬合になってしまっていたら手遅れになりかねません。歯に関しては特に予防が重要です。日常的に前歯と臼歯を磨耗させる食餌・環境を意識する必要があります。
※1: モルモットの口腔内の様子はこちらのサイト[1]の画像がわかりやすいです。全身チェック以外に、排泄物の形状や排泄量をチェックします。ウンチの形が異常でないか(先細っていないか?柔らかくないか?など)、糞尿の量が少なくないか、ニオイが異常でないか、など確認します。
ちなみに、モルモットのうんちは黒褐色の弾丸状で1~3 cmです[2](図2)。また、尿は、透明〜薄黄色だが炭酸カルシウムやリン酸アンモニウムマグネシウムを含有するため白濁していることも多いです[2]。
1-2. 体重が急に増えたり減ったりしていない?
体重測定は、我が家では原則「週1回」行います。毎週同じ曜日の同時間帯に測定し体重を把握・メモしています。成長期でない成体であれば±50 g程度は誤差の範囲と考えて問題ありません。
1-3. 爪が伸びすぎていない?
モルモットの爪のカットは2~3週間に1回行います。個体によって切りやすさが異なるかと思います。我が家の3頭の場合、モルは基本的には嫌がって(逃げようとしたり大きな声で鳴いたりして)いました。メルはたまに嫌がる程度。レムは大人しくじっとしています。
1-4. 身体が汚れてしまった場合
個体・年齢によってはお腹が汚れやすくなります。その場合は基本的には水で湿らせたタオルやペット用のウエットティッシュで拭きます。しかし、汚れがひどくなかなか落ちない場合はモルモット用のシャンプーを使用し短時間で洗い落とします。
ちなみに、私はシャンプーはおろか、濡らすこと自体お勧めしません。というのも、ぬるま湯であっても濡れること自体がモルモットにとっては大きなストレッサーになるそうです。また、タオルやドライヤーを使用してもなかなか乾きません。完全に乾かすことができないと体調を崩したり皮膚病になる危険性もあります。ですので少し汚れたくらいなら濡らしたタオルなどで拭き取ってあげることを個人的にはお勧めします。洗い流さない(水不要)小動物専用シャンプーもあるようです。
1-5. 外出・旅行について
モルモットに関しては旅行はおろか、外出自体お勧めしません(個人的見解)。モルモットは環境の変化に非常に弱い動物です。私は過去に何度か、我が家のモル・メルを近所の公園や知人宅に連れて行ったことがありますが、彼らにとってはおそらくストレスになっていました。なぜなら彼らの匂いのついた布・タオルで場所を確保してあげても、積極的に動こうとせずじっとしていたからです。好物をあげても自らはあまり動かず、口元に置くとようやく食べる印象でした。多少個体差はありますが、彼らにとっては間違いなく「いつもの住処」が最適の居場所なのです。
個体によっては共生しているシラミが表出してしまったり※2、日差しの中で目を開けられない子もいます。なので、通院等、どうしても外出しなければならない場合を除き、旅行や外出は避けることをお勧めします。
それでは、飼い主が旅行に行きたい場合どうすれば良いのか?我が家では丸1日程度ならば自宅に残して出かけます。その代わり、身体が排泄物で汚れないように工夫します。具体的には(個体の住処によりますが)例えばレムの場合、牧草を多めに敷いたりします。これによって、食べるための牧草が確保されるとともに、排泄物が直接身体に付着することを防ぎます。また、飲み水にビタミンを混ぜたり、麦茶にサプリメントを溶かしたりします。
2日以上旅行する場合は、信頼できる知人に預けます。この場合、給餌内容や掃除のタイミング、そして注意事項等を記載したオリジナルマニュアルを作成し渡しています。
※2: 多くのモルモットは寄生虫であるシラミと共生しています。シラミは普段、毛穴などに潜んでいますが、宿主の免疫力が低下すると体表に現れることがあります。
参考文献
- [1] 【多摩動物公園】モルモットの不正咬合 (2025). Retrieved Oct 1, 2025, from https://www.my.metro.tokyo.lg.jp/w/000-20250121-94463352
- [2] 霍野晋吉., 横須賀誠 (2021). カラーアトラスエキゾチックアニマル 哺乳類編 第3版 ─種類・生態・飼育・疾病─. 緑書房