最終更新日: 08/29/2025
尿路結石
モルモットの三大疾患とも呼ぶべき「尿路結石」。モルモットは摂取したカルシウムの多くを尿として排出します[1]。カルシウムの摂取量が多いと尿路結石の原因となり得ます。遺伝的に尿路結石に罹りやすい個体もいますが、与える野菜に偏りがないか、水分不足ではないか、日頃から留意することで予防できます。
尿路(尿管、尿道、膀胱、腎臓など)のどこかに結石ができると、鳴く頻度が「急に」高くなります。それも食べ物が欲しい時のような力強い声で一時的に鳴くのではなく、弱々しい声で囀るように、そして断続的に鳴きます。
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これはレムの音声で夜間によく泣いていました。多くの個体は排尿時に鳴くようです。また、尿に血が混じるようになります。
尿に血が混じる、排尿時に鳴く
以下を確認しましょう:
- カルシウムの含有量が高い食べ物(例:パセリ)を過剰摂取していないか
- 水分不足ではないか
- ビタミンDを摂取しすぎていないか(ビタミンDを過剰摂取すると腸管からカルシウムが吸収され血中のカルシウム濃度が増加します)
すぐにかかりつけ医に診てもらいましょう。尿路結石や細菌感染によって出血している可能性があります。
ところで、モルモットが尿路結石に罹患すると非常に厄介です。「手術すれば?」と思われるかも知れませんが、特にオスに関しては構造上、手術自体が困難です※1。遺伝的な要因もあるようですが、食餌内容や水分摂取量も大きく影響するため日頃から留意しましょう。
※1: メスの場合、尿路が短く太いので尿道・膣前庭の結石を視認しやすく摘出・処置が比較的容易だそうです[1]。実際に病院でも「メスはオスよりも比較的排出されやすい」との旨、かかりつけ医から教わりました。また、罹患後の生存日数の中央値もメスの方が長いと報告されています[2]。他方、オスの場合は尿路がメスよりも複雑で内径が狭い場所もあるようです。精嚢分泌物(seminal plug)が尿道内に形成されることがあり、尿路閉塞を引き起こす可能性が高くなるとの報告もあります[1]。ということで、要は、オスの尿路に結石ができた場合、「尿に混ざって出てき難い」し「手術しようにも実質手の施しようがない」と言えるでしょう。
参考文献
- [1] Reavill, D. R., & Lennox, A. M. (2020). Disease overview of the urinary tract in exotic companion mammals and tips on clinical management. The Veterinary Clinics of North America.Exotic Animal Practice, 23(1), 169–193. doi:10.1016/j.cvex.2019.09.003.
- [2] Edell, A. S., Vella, D. G., Sheen, J. C., Carotenuto, S. E., McKee, T., & Bergman, P. J. (2022). Retrospective analysis of risk factors, clinical features, and prognostic indicators for urolithiasis in guinea pigs: 158 cases (2009-2019).Journal of the American Veterinary Medical Association, 260(S2), S95–S100. doi:10.2460/javma.21.09.0421.