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 投稿日: 09/04/2025
 最終更新日: 09/23/2025

尿路結石 ※かかりつけ医:有


2024年10月27日。レム(1歳11ヶ月22日)のケージ床のタオルに血痕を発見。本人はすこぶる元気ではある。

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そういえば、2日前の夜に尿が赤みの強い茶褐色だった。そして何より、3週間前くらいから頻繁に囀っていた・・

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囀りについては「盛りがつく」というやつかしらと少し軽く見ていたが出血となると頭の片隅で恐れていた尿路結石かもしれない・・
体重は?1週間前よりも68 g減少・・誤差の範囲だろうか・・

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とにかく元気は良い。食欲旺盛で活発に活動している。

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とはいえやはり心配。ということで病院に。

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レントゲンの結果、やはり尿路結石。頻繁に鳴き始めた頃にすぐに連れて行くべきだったのだ。

オスの場合は手術をしても助かる確率は低く※1、今ある結石の増大を防ぎつつ排出を試みることに。ちなみにモルモットの尿路結石は下図の通り(別のモルモットの尿路結石。かかりつけ医の先生は過去排出/摘出されたものをたくさん保存していて見せてくれた)。CaCO3なだけあってサンゴや石灰石の破片みたいだ。

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常日頃から麦茶やら豆乳やら飲んでいることから、水分の摂取量は問題なさそうとのこと。他方、レムの好物である香草(パセリやセロリ、三つ葉など)や緑色の濃い野菜の給餌は控え、水分を豊富に含むレタスや利尿作用のあるスイカなどを与えるようにと言われた。

ちなみに水分量の多い青果を多量摂取して下痢にならないか尋ねると、草食動物が野菜を多めに摂取してもお腹を壊す確率は低いと教わった。

抗生剤と止血剤を混ぜた薬剤と、尿を酸性に傾けるため※2のサプリメント「ウロアクト」※3を処方された。ちなみにモルモットの尿は弱アルカリ性(pH9.0)[1]。あくまで酸性に傾けるのであり完全に酸性化させてしまうと今度は別の結石(例:シュウ酸カルシウム結石。中性〜酸性尿である犬やヒトに多い)が生成される危険性があるので投与量や留意点を先生に確認すると良い。

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※1: 詳細はこちら
※2: モルモットの尿はカルシウムを多く含む。またモルモットの尿結石の多くは炭酸カルシウムである。炭酸カルシウムは酸性の水溶液に反応し溶ける。詳細はこちら
※3: クランベリーとウラジロガシを含有する動物用サプリメント[2]ウラジロガシに含まれるエラグ酸や没食子酸等のタンニン類が一過性に尿量を増加させ、利尿作用を示すと言われている[2]。他方、クランベリーには、抗菌作用や尿酸性化作用が認められている[3]

スイカ、きゅうりを買って帰宅。すぐに薬剤(0.5 cc)とウロアクト(1/4錠)の投与を試みるものの、ウロアクトは全く食べてくれない。試しにレムの口に入れてみたら舌で吐き出された。私(ヒト)ですら気付けるほどに臭いが独特だ。ウロアクトをスイカに埋め込んでみたり好物のレタスに乗せてみたりしてみたが、食べるどころか青果に寄り付かなくなってしまった。

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翌朝、かかりつけ医の先生に「お湯に溶かして豆乳・麦茶などに混ぜて与えて成分・効能などに問題ないか」相談した。すると「スプーンなどで潰して粉にすると与えやすい。加熱・かんきつ類など酸味のあるものに混ぜるのはNG」とのこと。

早速ウロアクトをスプーンで潰して粉にし、豆乳に混ぜてシリンジで与えた。完飲してくれた。よかった。


相変わらず食欲旺盛で活発に歩き回る。とはいえ帰宅後にタオルを見ると少量の血痕が・・「石」も見当たらない。そしてやはり断続的に鳴く。

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29日は血痕・石ともに見当たらず。相変わらず鳴くものの、食欲や活動量は良好。

30日、血痕・石は見当たらないものの尿が茶褐色だったことがタオルからわかる。他方、いつもの白濁した尿も出している。そして相変わらず鳴く。31日も同様。

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11月1日、血痕が見つかる。

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体重に大きな変化はないものの、抗生剤・止血剤がなくなった。先生に相談すると追加で処方してくれるとのこと。翌日取りに行くことに。夜にも血痕が認められたので早めに相談してよかった。

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2日、薬だけもらいに病院へ。前回とシロップの色が違うが薬剤は同じとのこと。そういえば今日鳴いていない。血尿も出ていない。

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3日、何か落ちている。どの子でもたまに見るやつ。もしかしてこれが「石」の一種なのかしら?

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後日通院の際に先生に確認したところ、やはり「石」ではなく、精嚢分泌物(seminal plug)だった。

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その後、2週間ほど、血痕は見当たらず石も見つけられず。2日以降鳴くこともない。体重も安定している。

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11月24日、経過観察のため病院へ。レントゲンを撮ったところ、なんと石が消えていた。ケージ床のチモシーに紛れていたのだろう。排出された石に気づかず捨ててしまったようだ。正直この短期間に石が出るとは思わなかった。約一ヶ月間の緊張から一気に解放された。そして毎度のことだが先生の的確な診断と対応に心から感謝した。

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先生は何度も「よかった」と言ってくださった。最近、尿路結石に罹ったモルモットが死んでしまったそうだ。いつも動物にとって可能な限り最善を尽くしてくれる先生のことだ。さぞ辛かったことだろう。死んでしまったモルモットはおろか、日常的に動物の苦しみや死に向き合っているはずだ。レムの石が消えたことを心底安堵してくれているように見えた。

消えたとはいえ、体質的に再発する可能性が高いとのこと。今後も水分を多く摂らせること、香草や緑色の濃い野菜の給餌は控えること、そしてウロアクトを継続することを勧められた。

ウロアクトは通販サイトなどでも入手可能とのことなのでそちらで継続購入することにした。2025年10月現在も継続して1日に2回、朝晩それぞれ1/4錠ずつ与えている。また、これまで以上に、水分摂取量(給水ボトル内の水・麦茶がどれくらい減ったか)や排泄量(どれくらい排尿したか、血は混じっていないか、糞の形状に問題ないか)、そして、給餌内容(特に野菜の種類)に留意している。レムの体調に違和感はないが暑さが落ち着いたら定期検診に連れて行く予定だ。

ちなみに2025年10月4日, 6日の尿の液性はpH10.0強?・・酸性に傾いておらずギリギリ弱アルカリに分類される値。ウロアクトを継続して投与して良いか定期検診で確認予定だ。

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何はともあれ石が消えてよかった。

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参考文献

  • [1] 霍野晋吉., 横須賀誠 (2021). カラーアトラスエキゾチックアニマル 哺乳類編 第3版 ─種類・生態・飼育・疾病─. 緑書房
  • [2] 堀泰智., 星史雄 (2011). ウロアクトによりシュウ酸カルシウム結晶・結石が改善した症例, Companion Animal Practice, 1, 80-84.
  • [3] 岡部典子., 岡部篤直 (2011). ウサギの高カルシウム尿症におけるウラジロガシ配合剤(ウロアクト®)を使用した1例, インフォベッツ, 154, 41-44.