最終更新日: 1/15/2025
不正咬合
症例
- 2023-01-22:不正咬合
モルモットの疾患として最も罹患率の高い「不正咬合」[1]。Minarikovaら(2015)によれば、一定期間に彼らの診療所を訪れたモルモットで最も多く診断された疾患は歯科疾患(36.3%)で、2~5歳の個体に生じやすいことが報告されています[1]。また、雄の罹患率が高いことも報告されています[1] ※1。
ちなみに、不正咬合になると定期的に歯の高さを調節(カット)するそうですが、こうした治療、ひいては正常に戻すこと(≒完全治癒)が難しいと言われています[2][3] 。実際にメルを不正咬合にしてしまった私としても、とにかく予防に尽きると思います。
※1: Minarikovaら(2015)の研究では性別間でサンプルサイズが異なる。
不正咬合を回避するために
日頃から以下に留意しましょう:
- チモシーを十分摂取させる
- 歯を適切に摩耗しない素材(e.g., 金網タイプのケージ)を齧らせない
- かじり枝や木製のおもちゃを与える
- 顎や口部に強い衝撃を与えさせない
- ビタミンCを与える
上記以外でも、サテン種※2では遺伝的に発生しやすい[3]ことがわかっています。仮に遺伝的に劣性だとしても、最善な環境をモルモットに提供することは可能だと思います。ぜひ日常的に、そして気を抜かずに、予防に努めましょう(自戒の念を込めて)。
※2: サテン種の被毛には、肉眼レベルでサテンのような光沢が認められる[4]。顕微鏡レベルでの特徴としては、サテン毛は通常毛より外径が細く、毛幹内部の髄質が発達していない(量が少ない)ことがわかっている[4]。サテン種のモルモットの38%が「サテンモルモット症候群(SGPS)」を発症しているとの報告がある[5]。SGPSの症状としては、歯の異常、骨の変形、骨減少性病変、病的骨折、軽度から中度の低カルシウム血症などが挙げられ、通常は若い個体に発生する[6]。
参考文献
- [1] Minarikova, A., Hauptman, K., Jeklova, E., Knotek, Z., & Jekl, V. (2015). Diseases in pet guinea pigs: A retrospective study in 1000 animals. The Veterinary Record, 177(8), 200. doi:10.1136/vr.103053.
- [2] 徳永有喜子, (2008). モルモットの医・食・住, どうぶつ出版.
- [3] Robinson, R., & Seaborne, S. (1988). Satin coat in the guinea pig. Journal of Heredity, 79(3), 214–215. doi:10.1093/oxfordjournals.jhered.a110496
- [4] 大崎典子, et al. (2015). モルモット完全飼育: 飼い方の基本から接し方, 生態, 医学までわかる, 誠文堂新光社
- [5] Jordan, J., Brunnberg, L., Ewringmann, A., & Mueller, K. (2009). Clinical, radiological and laboratory investigation of osteodystrophia fibrosa in guinea pigs (cavia porcellus) of the satin breed. Kleintierpraxis, 54(1), 5–13. https://www.cabidigitallibrary.org/doi/full/10.5555/20093045506
- [6] Gallego, M. (2017). Case report of a satin guinea pig with fibrous osteodystrophy that resembles human pseudohypoparathyroidism. Case Reports in Veterinary Medicine, 2017, 1321656. doi:10.1155/2017/1321656