投稿日: 1/15/2026
最終更新日: 1/15/2026
不正咬合 ※かかりつけ医:無
2022年12月28日、13時以降。メル(3歳1ヶ月23日)。糞の量が激減した。
ちなみに「急に」というわけではなく(さらに言うと関係あるかは不明だが)、11月30日にも「胃腸の鬱滞」と見られる症状が認められた。糞の量と形状に違和感があり元気もあまりなかった。体重は3日前と比較して60 gほど減少していた。
この症状は、マッサージや水分の供給量を増やすことによって徐々に軽減し4~5日程度で消失、体重も回復傾向となった。ちなみに、この頃は(臼歯は不明だが)少なくとも前歯に異常はなく、上下の歯の先端は真っ直ぐ揃っていた。
冒頭(12月28日13時過ぎ)に話を戻す。急に糞の排泄量が激減した。食欲も減退し、ケージからあまり顔を出さなくなった。水の摂取量も激減した。腹部にも「張り」が認められたので、また胃腸の鬱滞かしら、と思っていた。
ところが、軽いマッサージや水分量を調整しても、なかなか回復の兆しが見られず1月9日くらいまで不調が続いた。 給餌内容を調整すべく、水分量多めでメルが食べる青果(レタス・みかん・りんご)や、禁断のペレット(モルモットセレクションプロ)を与えたりしたが、摂取量は少なかった。りんごとチモシーは少しずつ食べた。みかんもたまに食べた。 したがって排泄量も多くはなく、形も歪だった。 不調が始まる3日前(11月25日)の記録を含めると、約2週間で100 g近く減少したことになる。
胃腸の鬱滞が認められ、(後から見返しても)写真によっては眼力も弱く、何より体重が明らかに落ちていたにも関わらず、なぜ私はすぐに動物病院へ行かなかったのか。 第一に、やはり獣医への強い不信感を抱いていたことが大きい。本当はすぐにでも専門家に診てもらいたかったが「次の獣医」を頼ることがどうしてもできなかった。 そして第二に、私たちが見ている限りではあるが、メルは、幼い頃を除いて、モルと比較すると日常的に活動性が低かった。その上、ヒトにあまり懐かなかった。 そのため、当時メルの身体的な変化に気づきにくかった。 最後に、やはり私が飼育者として怠惰・未熟だったことが大きい。 ほぼ毎日体重を測り体重減少を数値で見ていたにも関わらず「これまでと同様、どうにか治るのではないか」と根拠なく期待していた。 また、歯を毎日磨耗しなければ不正咬合になることを知っていたにも関わらず、牧草を摂取できていない可能性を軽視していた。 今の私には理解し難い。メルには本当に申し訳ない。
1月10日〜11日、少しだけ回復の兆しが見えた。 まず、糞の量が増えた。また、食欲も戻ったらしく、ケージから顔を出すようになった。水の摂取量も少し増えた。 他方、糞の形状は相変わらず先端が先細っている。体重も減少傾向だ。そして何より、お気に入りの「枝齧り」をしなくなった。
1月12日〜21日、糞の量がさらに増えた。水の摂取量も増え、胃腸の鬱滞については解消したのかと思った。 しかし、チモシーやオーツヘイ、野菜(人参・レタス・キャベツ)をほぼ食べない。食べたそうなのに、食べることができないようだ。りんごの枝も齧らない。りんごは多少食べた。 また、モルモットセレクションプロや乳酸菌、ビタミンCは食べるのだが、口から出してしまうことが多々あった。
そして20日、恐れていたことが現実となった。 メルに負担をかけないように口の中を確認すると、メルの前歯2本の長さが違うことに気づく。左の方が少しだけ長い。やはり不正咬合になっていた。 ちなみに、モルモットの上の前歯(切歯)は 1.7~1.9 mm/週 程度、下の前歯(切歯)は 2.0~2.4 mm/週程度、伸びることがわかっている[1]。 とすると、ここ約3週間でチモシーをあまり摂取できず十分磨耗できなかったことが原因だろうか。 あるいは、たまに網ケージを噛んでいたことが原因だろうか。 それとも、11月半ばの脱走事件※1で顎に何らかの障害が残ったのだろうか。
※1: 実は、2022年11月13日、近所の公園の机付きベンチにメルを降ろした途端、彼は飛び降り脱走したのだ。 それはもう綺麗なフォームだった。何よりメルが走っている姿を初めて見た(モルは部屋散歩の時にしばしば走った)。 ちなみに、メルは机からベンチに、そしてベンチから地面に飛び降り全力で駆け出した。机とベンチは木製というより木でできており、「机とベンチ」と「ベンチと地面」の距離はそれぞれ30 cm弱だろうか。ちなみに地面は「芝」と「土」だ。 私たちはすぐに捕獲したが、この一件がメルの身体にどの程度影響を与えたかは不明だ。私たちは注意深く様子を見ていたが、捕獲後は何事もなかったように野菜やチモシーを食べていた。その後も足腰や歩行、摂食・排泄、その他の癖や行動に問題はなく、11月30日までは至って健常に見えた。体重も右肩下がりだ。健常だった2ヶ月前を含めて比較すると、体重の減り方が尋常ではないことがわかる。
もうこれは病院へ行くしかない(対応が遅いことは百も承知である)。 すでに探してあった候補の病院に恐る恐る電話する。22日に予約が取れた。 予約を取る際に医師から「前歯だけなら麻酔なしで施術可能。モルモットは麻酔に弱いのでできれば麻酔なしで行おうと思う」という旨伝えられた。 前歯が伸びている上に食べる様子を見る限り、おそらく臼歯も伸びているだろうと予想した。
1月22日。手術の日だ。
予約していた病院へ電車で向かう。ここに来てさらに恐ろしいことが。 診察室に入ると、以前、モルが診てもらった獣医がいた。 そう、モルモットについて何も知らないといっても過言ではないあの獣医だ。 実はこの病院、以前の病院と系列店舗ではある。 しかし、そこそこ距離がある。まさか、ここにもこの獣医がいるとは。小動物専門獣医として各店舗で対応しているのかもしれない(この獣医が??)。
今更どうしようもなく、施術の。ちなみに、麻酔なしで施術することになった。
録音メモを消してしまいはっきりとは覚えていないが「モルモットは麻酔に弱いから」という理由だったと思う。
助手などもいない。私たちがメルの体を押さえるよう指示された。
※以下の動画は施術中の様子です。
処置の所要時間は1分も掛からなかった。獣医の手つきは慣れているように見えた。しかし、相当ストレスだっただろう。 また、動画からもわかるように大量のフケ?が舞っている。帰宅後に入浴させるように勧められた。
表1. 1/22_診療費明細(円)
| 診察料(初診) | 2,200 |
|---|---|
| 薬剤料(トランサミン) | 880 |
| 処置料(歯切り) | 4,400 |
| 合計 | 7,480 |
帰宅後、メルの全身を温水で洗った。短時間ではあるが、やはり強いストレスとなっただろう。 フケ自体も、おそらくここ数週間の栄養失調(免疫力の低下)から来たものだと思う。洗っても仕方ない、というより入浴によってさらなる負荷をかけたはずだ。
他方、食欲はあるように見えた。食べ方に若干違和感を感じたものの、チモシーやキャペツを食べようとしていた。
1月23日〜24日。 ケージからしばしば顔を出し餌をねだる。リンゴは割と食べる。こうした様子からは元気に見えた。 他方、硬いものは食べられないようだ。牧草やニンジンに関しては食べ方を忘れてしまったかのようにも見えることから、調子悪そうにも見えた。口内炎かもしれない。 ケージの入口のチモシー縄は、しばしば齧っていた。
1月25日。 相変わらずケージからしばしば勢いよく顔を出す。おでこをたくさん撫でる。 よく見るとメルの前歯が不揃いになっていることに気づく。ということは臼歯も不揃いかもしれない。 また、ケージの内壁を舐める様子もしばしば認められた。そして、下痢気味でもある。 一度不正咬合になると完治が困難であることは当時も心得ていた。都度、病院で切ってもらうしかないのだろう。とはいえ毎日切りに行くことはできない。 ちなみに、例の獣医には「口腔内が傷ついているはず。しばらくの間はあまり食べられないかもしれない」との旨言われたくらいだ。
1月26日〜2月4日。 小さい人参や薄いリンゴすらあまり食べない。乳酸菌やビタミンCは食べる。小動物用ピューレもok。 そこで人参をすりおろして与えたら食べた。これに乗じて他の青果をすりおろし、チモシーを細切りにして、小動物用ピューレを混ぜて与えた。
ちなみにこの間も体重は右肩下がりだった。それでも小動物用のピューレやリンゴ、柔らかくて小さいチモシーやサプリ、モルモットセレクションプロなどは少しずつ食べていた。 しばしばケージから顔を出し、元気に見えないこともなかった。というより「少しずつ回復している」と思い込みたかったのかもしれない。 しかし繊維質や栄養が不足していたはずだ。また、前歯の形状からも正常に磨耗できていないことは明らかだった。不安や心配で破裂しそうだった。 しかし、やはり「どこの動物病院へ行けば良いのか」がネックだった。例の獣医を頼ることは到底できなかった。 とはいえ放置できる状態ではないので、次の候補の病院(現・かかりつけ医)を予約する。6日の予約が取れた。
2月5日。 眼力が明らかに弱い。そして数日前(正確な日付のメモなし)から、メルの毛に触れた私たちの皮膚に、毛虫に刺された時よりもひどい湿疹が出るようになっていた。 ちなみに、私たちは元々モルモットのお尻や尿などが触れた皮膚は痒くなったり湿疹が出たりしたが、この時は比べ物にならないくらいの発疹だ。 1本の毛が皮膚に触れただけでも発疹が認められた。 依然としてフケも多かった。免疫力が低下して疥癬ダニなどに寄生されていたのだろうか。今となっては不明だ。少なくともメルを苦しめたことに変わりない。
食欲も減った。好物のピューレやモルモットセレクションプロも食べない。体重も更に減っていた。
深夜、明らかに水分の摂取量が少ないので、シリンジで水を口に入れる。口元から少なからず溢れた。 私は朝方までメルの様子を見た。
2月6日。 私は結局2時間ほど寝てしまった。ケージを見るとメルが見当たらない。 メルがお気に入りの隠れ家を持ち上げると、彼は亡くなっていた。それも横臥状態ではなく立ったまま。今でも網膜に焼き付いている光景の一つだ。 抱き上げると硬くて冷たかった。 私はパニックになった。これまでの経緯を冷静に考えればいつ亡くなってもおかしくなかったはずなのに。 大切な存在の「死」に生まれて初めて直面した。 実際に触っても「メルが死んだこと」を受け入れられなかった。自分でも不思議なくらい信じられなかった。 そして何より、いたらなさ、申し訳なさ、後悔しかなかった。 あと数時間で病院だったのに、とも思ったが、仮に間に合ったとしてもすぐに死んでしまっただろう。
あとがき。
メルはしばしば私の夢に現れる。「実はまだ生きていた」という設定で。 ケージから顔を出すときのメルの横顔は網膜に焼き付いている。アビシニアン特有の立髪の感触も手のひらから消えることはない。そして死んでしまった時の体の硬さや冷たさも。
メルは、明らかに私のせいで死期を早めた。何より私は彼を長い間ひどく苦しませてしまった。 体調がなかなか回復しないにも関わらず、体重が右肩下がりであるにも関わらず、私たちはすぐに次の病院へ行かなかった。そして「次の病院」の選択自体も適切だったとは言えない。
今のかかりつけ医の先生に早く出会えていたら、とは思う。とはいえ、当時の私たちを擁護するつもりは毛頭ないが、それまでの経験を踏まえると到底辿り着けなかったことも確かなのだ。やはり、モルモットを購入する前に(少なくとも健康なうちに)信頼できるかかりつけ医を見つけておくべきだと痛感した。
ところで、最後まで読んでくださった方は気づいたかもしれないが、この記事は、他の症例記事よりも「症状の経過」に関する情報量が少ない。その原因は、端的には、私がモルモットの飼育者として今よりも未熟だったことに尽きる。これはメルが亡くなった原因とも言える。
- 獣医への不信感からすぐに病院へ行かず、メルの異変を軽視していたこと
- 飼育書に書いてある一般的な知識程度は把握していたにも関わらず、知識と現状を統合できず、メルに反映できなかったこと
- 記録自体や記録の管理を今ほど徹底していなかったこと(つまり異変の全てをメモしていないばかりか、亡くなった後に消してしまったものもある)
- メルが亡くなったショックにより、断片的な情報(メモや写真など)を統合するための確かな記憶が少ないこと
- なんとしても最低限信頼できる「かかりつけ医」を見つける(&セカンドオピニオン的な獣医も見つける)
- 少しでも異変を検知したらすぐに記録する
- すぐに病院へ連れて行く
- 病院に連れて行くだけでなく(獣医からのアドバイス等も含め)自分でも病気について調べる
参考文献
- [1] Müller, J., Clauss, M., Codron, D., Schulz, E., Hummel, J., Kircher, P., & Hatt, J. (2015). Tooth length and incisal wear and growth in guinea pigs (cavia porcellus) fed diets of different abrasiveness. Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition, 99(3), 591–604. 10.1111/jpn.12226
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