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 最終更新日: 08/26/2025

モルモットは何を食べるの?


1. モルモットの食べ物


1-1. チモシー

モルモットの主食はチモシー(牧草)です。みなさんご存知の通り、モルモットは草食動物なので草をたくさん食べます。その中でも繊維質のチモシーを毎日たくさん摂取する必要があります。この咀嚼はストレス解消にもなりますし、歯を削ることにもなります。モルモットはチモシーを咀嚼する際、上下の臼歯を左右の方向に擦り合わせます。これがとても重要なのです。

と言うのも、モルモットは齧歯類なので一生歯が伸び続けます。単に伸ばし続けるとモルモットの三大疾患とも呼べる不正咬合になります。不正咬合とは、わかりやすくは「歯の長さ不揃いになり噛み合わせが悪くなる」ことですが、これがモルモットにとっては命取りになります。というのも長さが不揃いのまま各歯が伸びると、前歯に関しては最悪口からはみ出ます。臼歯に関しては左右に擦り合わせることがだんだんできなくなります。歯を用いる摂食が、構造的にはもちろん、痛みも伴うことで困難となり、最終的に死に至ります。なので不正咬合は絶対に回避したいのです。

モルモットには前歯(上下計4本)と臼歯(上下計16本)があり、前歯はモルモット自身で枝や木製の玩具をかじることで研ぐことができます。しかし奥歯である臼歯は、基本的に繊維質の食べ物を咀嚼することによってのみ削ることができます。一般的なペレットや野菜のみを摂取するのでは臼歯は摩耗しませんので毎日必ずチモシーを与え、一定量減っているか確認する必要があります。

ペットショップやオンラインショップには様々な種類のチモシーが販売されています。生のチモシーを育てるためのキットも売っています。多くの選択肢の中から何を与えれば良いのでしょう?モルモットの飼育書やネットには「新鮮なものを」や「年齢に応じて」など色々と書かれています。私の経験上

といったことが3頭に認められました。繰り返しになりますが、チモシーは毎日コンスタントに食べてもらう必要がので、とにかく好みのチモシーを探しましょう。「色々試してそのとき食べてくれるものを適宜与える」で良いと思います。我が家では現在は複数混ぜて(図2)与えています。

なお、穂の部分は栄養価が高いので与えすぎに注意です。また、時期によっては花粉が多くついているようで胃腸の不具合に繋がることもあるようです。かかりつけ医からは排除した方が良い、と言われました。それ以降、私は毎朝晩、可能な限り排除しています(なかなか骨の折れる作業です・・)。


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図1. 生チモシー(左)
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図2. 乾燥チモシー
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図3. チモシーの穂

1-2. 青果

モルモットの主食はチモシーですが、他にも色々なものを毎日食べる必要があります。というのも、モルモットはヒトと同様、体内でビタミンCを生成できません。ビタミンCが欠乏することによって、結膜症や不正咬合などの疾患を引き起こす原因となり得ます。また、モルモットによっては水をあまり飲まないことがあります。水分不足は便秘などを引き起こします。体に必要な成分や水分をサプリメントや青果、水以外の飲料を摂取することで補う必要があります。まずはモルモットがどんな野菜や果物を食べるのか、我が家の3頭のモルモットを例に具体的に見てみましょう。


表1. モルモットの好み
青果 モル メル レム

<評価方法>
  • 好き:大量に食べる。複数選択肢があれば最初に食べる。既に食べていたものを放棄して食べる
  • 普通:「好き」な青果ほどではないけれどあれば食べる
  • 微妙:「普通」な青果ほどは食べない。食べるときと食べないときがある。ほぼ食べない
  • 嫌い:絶対に食べない
  • 経験なし:与えたことがない

を見比べていただけると、好みに多少差があることが分かります。顕著な例としては、モルとメルはパセリやセルリといった香草を全く摂取しませんでした。しかしレムの大好物は各種香草です(※現在は尿石再発防止のため食べさせていませんが・・)。一方でニンジンやレタス類は、どの個体もコンスタントに摂取します(「個体差」といっても3頭のみを対象としているためもっと頭数を増やすとまた異なる傾向が見えるかもしれません)。

前述の通り私は彼らに毎日最低2種類の青果を与えるようにしています。本当は何種類も与えたいのですが「あまり食べない」や「全く食べない」と、すぐに取り除けない場合には汚れの原因となるのでコンスタントには「好き」を2〜3種類を与え、たまに「普通」や「微妙」な青果を与えています。


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図4. 青果
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図5. 色々食べさせてみましょう

⚠ 注意:このサイトでは「玉ねぎ」や「ニンニク」といったモルモットに与えてはいけない青果については深く言及しません。また、一般的にモルモットに食べさせて良いとされる青果であっても、モルモットの体質によっては給餌を避けた方がよい場合もあります。日常生活の中で適宜「食べさせて良い青果か」かかりつけ医などに相談しましょう。また、調理後や食事後、ネギやチョコレートが服についていないか(モルモットの口・住処に入りうるため)、床に落ちていないか(”もる散歩”の際に誤食しないよう)、細心の注意を払いましょう。

1-3. サプリメント

先述の通り、モルモットは体内でビタミンCを生成できません。ビタミンCを摂取しないと、とりわけ眼病や皮膚病などに罹患しやすくなります。ですのでビタミンCを毎日適量与える必要があります。季節の変わり目や体調不良の時にはマルチビタミンも与えます。他にも、腸内環境を整えるために私は乳酸菌を与えています。乳酸菌には糖分が添加されており、私の3頭全員に嗜好性が認められました。毎日与えるものであっても給餌のタイミングを検討してみましょう。モルモットの特定の行動を強化したい時(例えばあなたの手の上に手を乗せたらあげる)やモルモットが嫌なことを我慢した時(苦手な薬を飲んだ後など)に活用することをお勧めします。なお、どのサプリメントにも適量が記載されているので必ず確認しましょう。ところで、ネットのショッピングサイトでは、しばしば「お買い得」と称して大容量で安い製品が売っています。私の経験では、これらは消費期限が比較的近い印象です。すると期限内に全てを消化できず廃棄せざるを得ません。逆に不経済となりますので出品元や消費期限に留意しましょう。とは言えど、急遽欠品(欠品自体はあまりないものの価格の高騰はしばしばあります)や天災に備えてストックに余裕を持つこともお勧めします。。ちなみに「小動物」や「うさぎ」とあっても「モルモット」と記載されていないものは完全に与えないか、どうしても必要な場合は給餌可否をかかりつけ医に必ず確認しましょう。


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図6. ビタミンC
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図7. マルチビタミン
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図8. 乳酸菌

1-4. 齧り木

繰り返しになりますが、モルモットは全ての歯が一生伸び続け(常生歯)、日常生活内で歯の磨耗が不十分だと不正咬合になります。主に前歯を削るために図9のような細枝を毎日住処に投入しています。私のモルモットたちは3頭ともリンゴ以外の枝だと食いつきが悪いため、リンゴの枝(細枝)を定期購入しています。どれくらい歯を研ぐのに使ってくれるかは個体差がありますが、モルやメルは大抵少し齧る(表面の皮の2/3が禿げる)程度、レムに至っては丸々一本食べてしまうこともあります。奥歯も摩耗できて良いですが、口の中を怪我しないか少し心配ではあります。しかし唾液をたくさん分泌しながらかじっているので問題ないでしょう。3頭のいずれも枝が原因で怪我をしたことはありません。心配であればあなたがいるときに与える、あるいは細すぎる枝を除く、といった対応すれば安心だと思います。前歯の伸び過ぎを防ぐために積極的にかじらせましょう。ちなみにリンゴの他にも桃や葡萄などがあります。


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図9. 齧り木

1-5. 牧草代用ペレット

結論から先に、私はモルモットにモルモット専用ペレット(例えばこちら)を与えていません。理由としては主に、
・嗜好性が高すぎる
・別途ビタミンCや乳酸菌を与えている
・歯を十分に摩耗しない
の3点が挙げられます。モルモットが臼歯を摩耗させるためには、「ある程度硬いand/or繊維質の食べ物」を咀嚼することで「上下の顎を横に動かす」必要があるのです。ペレットは硬さや繊維質が十分ではなく、こうした動きを必要としません。また嗜好性が高いため放っておくとチモシーを食べなくなることもあり、ひいては摩耗が足りず不正咬合に陥ったり、(高カロリーなので)肥満になったりします。モル(1頭目)を買い始めた頃は、不慣れなこともあり、ペットショップ店員さんお勧めの「ビタミンCを含むペレット」を適量与えていましたが、結局ビタミンC不足で角膜炎になりかけました。以来、私は前述のビタミンCやマルチビタミンを買うようになり、(モルやメルが亡くなる数日前などは除き)原則ペレットを与えることをやめました。一方で図10のような牧草代用ペレットは1日に10本程度与えています。これはその名の通り、牧草でできているため、牧草を食べている時と同様の咀嚼が必要となります。なので、きちんと歯を摩耗することができます。さらに嗜好性がやや高いため、私はモルモットたちと親睦を深めるために毎日少量与えています。ちなみに、念のため、かかりつけのお医者様に「牧草が手に入らなくなった場合の非常食として保管するのはありか」確認したところOKをいただきました。「歯の摩耗」という観点では「牧草代用ペレット」は十分活用できます。とは言えど、糖類も含まれていますので、やはり主食は牧草そのものであることを念頭に置きモルモットの食生活を管理しましょう。


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図10. 牧草代用ペレット